2013年10月4日金曜日

【死因と死亡診断書③】

私は24.5才で医師となり、20年余りが経ました。

精神科医と老人内科医と半々です。

その間に作成した「死亡診断書」は100程度と思います。
医師としては少ない方です。
幸いにも?「死体検案書」を作成したことはありません。

その約100の「死亡診断書」のうち、主治医として作成したのは1通のみです。

他の医療施設からの搬送でしたが、既に全身状態が極めて不良であり、約1週間でなくなりました。
それ以外の約100の「死亡診断書」は、私が担当でなかった方々です。

「死亡診断書」を作成するのが、初めて当直する病院であることも少なくありません。
慌ててカルテの経過や治療を見ますが、雑然としているものもあり、「死亡診断書」を作成する際に困ることもあります。

終末期における、肺(呼吸器)と心臓(循環器)の病態の合併も多く、「直接死因」が分かりにくいこともあります。そこで仕方なく「心不全」と記載することもあります。


また医療事故と思われる例もありますが「死体検案書」ではなく、「自然死」?として「死亡診断書」を作成します。

そうしたこともあり、死因別の統計は厳密とはいえない部分はあります。


私は精神科医として10年余りを過ごしました。

その間に主治医として、自殺や離院をした方が一人もいませんでした。
これは過去の誇りでもありますが、そこでやはり一番重要なことは「信頼関係」でした。

「信頼関係」の問題は他科にもいえることです。
まず前提として同じ人間というスタンスが必要不可欠です。

患者さんの目も見ない医師が増えています。
医の本分を喪失しつつある現代の状況は、嘆かわしいばかりです。

〈暗誦句〉

生活〈年の市-仲冬〉

・水仙の香も押し合ふや年の市                       千代女                (☆)

・年の市煙を昇る火の粉疾(と)し               小川軽舟

動物〈水鳥-三冬〉


・水鳥の口しやくりつつ水こぼす                    阿波野青畝

・水鳥のしづかに己が身を流す                        柴田白葉女
・水鳥の争ふ水の上に立ち                                伊藤道明                 (☆)
・いつも陽の死角にありて浮寝鳥                    小澤克己

植物〈山茶花-初冬〉


・山茶花は咲く花よりも散つてゐる                  細見綾子               (☆)

・山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ                  加藤楸邨

これで重要季語18、例句60です。

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