2013年10月31日木曜日

【『俳句』11月号より④

〈第59回 角川俳句賞 受賞作品『風のにほひ』清水良郎〉


・汗染むや電気工事の革ベルト

・耳を出てプールの水の温きかな

・羽蟻の羽ひきずつて歩きけり

・からからに束子のかはく西日かな

・新涼や胸いつぱいの畳の香

・押しピン指紋の跡の錆びて秋

・ラグビーのマウスピースが笑ひけり

・電熱の行火の強のにほひかな

・遮断機のうへ白蝶の吹かれをり

・たんぽぽやサインに首を振る投手

・春風を目で追ひかけてをりにけり

同候補作品『薬喰』谷口智行

・栗茹でし鍋湯を風呂に足しくるる

・墾道に鞣されてゆく鼬の屍

・貰ひ風呂待つ間に年を越しにけり

・風花や縄のかたちの藁の灰

・桜満開濁流の川向かう

・玉水を引ける生簀に半裂飼ふ

・布海苔搔く鮑の殻を押し当てて

・どの家も不在玉葱吊しゐて

〈暗唱句〉

生活〈探梅-晩冬〉

・探梅のこころもとなき人数(にんず)かな        後藤夜半    (☆)

行事〈蕪村忌〉
(なし)

動物〈寒鰤-晩冬〉→〈鰤-三冬〉の項目に含む。


これで重要季語79、例句211です。

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