【『俳句』11月号より②】
〈作品16句『種茄子』戸恒東人〉
・身に入むや応召の日の父の手記
・わがたつき支えし右手栗を剝く
・秋雨や地下より洩るる工事の灯
…「秋雨」の句は特に上手いですね。
〈作品16句『旅鞄』野木桃花〉
・虫しぐれ朝まで点る部屋ひとつ
・山峡の日差しを密に柿熟るる
・露けしや町の外れの街路灯
・遊行寺の闇を灯して曼珠沙華
・校正の眼を休めをり二十日月
・丘晴れて百踝の蜜柑弾みをり
…秀句がそろっています。
〈作品8句『冬の薔薇』青柳志解樹〉
・霧深く牛馬啼かざり動かざり
・夕鵙や吹きさらされて贄乾く
…上手いですね。
〈作品8句『捨て南瓜』金久美智子〉
(なし)
〈作品8句『踏絵橋』岸原清行〉
(なし)
〈作品8句『露葎』佐藤麻績
(なし)
〈作品8句『いつも夏』玉城一香〉
・まづ太陽(てだ)を描いて子の絵はいつも夏
〈作品8句『月夜』柴田多鶴子〉
・力まずに吹く子に鳴りぬ瓢の笛
〈暗唱句〉
動物〈鶴-三冬〉
・鶴の舌赤銅の日に啼きただれ 富沢赤黄男 (☆)
・二三歩をあるき羽搏てば天の鶴 野見山朱鳥
・鶴啼くやわが身のこゑと思ふまで 鍵和田柚子
・降り鶴の脚さしたらす虚空かな 大岳水一路
時候〈春近し-晩冬〉
・地を搏つて雀あらそふ春隣 堀口星眠 (☆)
・井戸水に杉の香まじる春隣 福田甲子雄
・俎に切るとんかつや春隣 小川軽舟
生活〈息白し-三冬〉
・息白くやさしきことを言ひにけり 後藤夜半
・泣きしあとわが白息の豊かなる 橋本多佳子 (☆)
・ためらひし一と言白き息となる 加藤三七子
・白息をかけて遺愛の眼鏡拭く 角川照子
これで重要季語74、例句207です。
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