2013年10月28日月曜日

【『俳句』11月号より②】

〈作品16句『種茄子』戸恒東人〉

・身に入むや応召の日の父の手記

・わがたつき支えし右手栗を剝く

・秋雨や地下より洩るる工事の灯

…「秋雨」の句は特に上手いですね。

〈作品16句『旅鞄』野木桃花

・虫しぐれ朝まで点る部屋ひとつ

・山峡の日差しを密に柿熟るる

・露けしや町の外れの街路灯

・遊行寺の闇を灯して曼珠沙華

・校正の眼を休めをり二十日月

・丘晴れて百踝の蜜柑弾みをり

…秀句がそろっています。

〈作品8句『冬の薔薇』青柳志解樹

・霧深く牛馬啼かざり動かざり

・夕鵙や吹きさらされて贄乾く

…上手いですね。

〈作品8句『捨て南瓜』金久美智子
(なし)

〈作品8句『踏絵橋』岸原清行
(なし)

〈作品8句『露葎』佐藤麻績
(なし)

〈作品8句『いつも夏』玉城一香

・まづ太陽(てだ)を描いて子の絵はいつも夏

〈作品8句『月夜』柴田多鶴子

・力まずに吹く子に鳴りぬ瓢の笛

〈暗唱句〉
動物〈鶴-三冬〉

・鶴の舌赤銅の日に啼きただれ             富沢赤黄男   (☆)
・二三歩をあるき羽搏てば天の鶴            野見山朱鳥
・鶴啼くやわが身のこゑと思ふまで           鍵和田柚子
・降り鶴の脚さしたらす虚空かな            大岳水一路

時候〈春近し-晩冬〉

・地を搏つて雀あらそふ春隣              堀口星眠    (☆)
・井戸水に杉の香まじる春隣              福田甲子雄
・俎に切るとんかつや春隣               小川軽舟

生活〈息白し-三冬〉

・息白くやさしきことを言ひにけり           後藤夜半
・泣きしあとわが白息の豊かなる            橋本多佳子   (☆)
・ためらひし一と言白き息となる            加藤三七子
・白息をかけて遺愛の眼鏡拭く             角川照子

これで重要季語74、例句207です。

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