【『俳壇』10月号より②】
〈俳句と随想十二ヶ月 十月 『草加』森田公司〉
(なし)
〈俳句と随想十二ヶ月 十月 『馬に喰はるるな』辻 恵美子〉
・この家の涼しさに置く旅鞄
…眼目は「涼し」の捉え方です。掲句の「涼し」には、「安堵感」(旅から戻ってきた)が感じられます。「寒し」(冬)の捉え方と近いものがあります。どちらもも心理的要素が強く働いています。
〈同行二人 ふたりで五十句 母子競詠 『沖は秋』花谷和子〉
・丸虫の右往左往や老いの暇
…「丸虫」はダンゴムシです。「右往左往」とありますので丸くなっていません。
ただ「丸虫」の動きを観察しています。「老いの暇」という着地も良いと思います。
全体として、気取らない、素直な心情が心地良く感じられます。
〈同行二人 ふたりで五十句 母子競詠 『秋の虹』花谷 清〉
・折鶴の折目色なきまで灼けて
…日光などで色が褪せている状態を、「色なきまで灼けて」と表現しています。
言われてみれば、確かに折鶴の折目は先行して色褪せます。
発見に近いものを感じさせます。
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