2013年9月5日木曜日

【季語あれこれ⑥】

春の季語(地理) 
「山笑ふ」

中国北宋の画家、郭熙(かくき)の『郭熙画譜』に四季の山それぞれの特長として「春山は淡冶(たんや)にして笑うが如く、夏山蒼翠として滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如し」に依るものです。

句作における使用頻度は、「山眠る」が最も多く、次に「山笑ふ」、「山滴る」・「山粧ふ」は少ないようです。

「山滴る」には別に「滴り」という夏の季語があります。
「山粧ふ」には別に「(山)紅葉」、「秋深し(秋闌)という秋の季語や、「錦秋の秋」という言葉があります。

「山笑ふ」を例にとると、①擬人化、②動詞を含むこと、③季語が内容を縛りやすい、などの特長があります。

擬人化は、リアリティーに乏しい曖昧な句となりがちです。
個人的には極力「擬人化」は避けています。

動詞を含むことは、俳句の器における表現にとって不利となりがちです。
一句の中に3、4以上の動詞・助動詞が入ると、冗長かつ説明的になります。

また季語のウェイトのため、季語に引き摺られた内容となりやすいことがあります。

上記のように、案外使いにくい季語かも知れません。ある程度の俳句力が必要かと思われます。

私は「山眠る」以外は使ったことがありません。擬人化という問題と、「山滴る」・「山粧ふ」を他の季語などとうまく使い分けが出来ないことによります。

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