2013年9月2日月曜日

【季語あれこれ③】

春の季語(時候②)


七十二候には二十四節気を三分して、初候・二候・三候に風物を配したものです。

「魚氷に上る」(初春)、「獺魚を祭る」(初春)、「鷹化して鳩となる」(仲春)、「竜天に上る」(仲春)、「蛙の目借り時」(晩春)、「田鼠化して鶉となる」(晩春)

上記の季語は空想(非現実)に基づいています。
季語(非現実)+内容(現実)とすると、一句として曖昧になり易く注意が必要です。
内容は現実的なものが良いかと思われます。

また「魚氷に上る」-7、「獺魚を祭る」-10文字、「鷹化して鳩となる」-10文字、「竜天に上る」-8文字、「蛙の目借り時」-9文字、「田鼠化して鶉となる」-12文字と、俳句の器にとっては長大です。

これを解消する方法として、上五の字余りを使うことや、季語を上下に分けることなどがあります。

また「獺魚を祭る」は傍題として「獺祭」-5文字、「蛙の目借り時」は傍題として「目借り時」-5文字があり、これらを用いることが多いようです。

竜天に上る」を「竜天に」と略している歳時記の例句もありますが、そのような傍題はなく、正しい用法とは言えません。

上記の中でよく目にするのが「「蛙の目借り時」(目借り時)」ですが、句会でも歳時記の例句でもそれほど優れていると感じたものはありません。
季語自体に「俳諧味(滑稽)」がありますが、一句としてもそのままのことが少なくありません。それでは季語の説明に終わってしまいます。

概して上記の季語は扱いにくい季語です。
句作するのは構いませんが、他の時候の重要季語での句作に慣れてからでも遅くはないと思います。

否定的な提言ではありません。他人の句の鑑賞に役立てたり、将来の句作のための予備知識として、上記の季語の本意・本情、例句を知ることも大事なことかと思います。

次回は春の天文の季語について話をします。

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