春の季語(天文①)
風について…
「春の風」(三春)、「東風」(三春)、「貝寄風」(仲春)、「涅槃西風」(仲春)、「彼岸西風」(仲春)、「比良八荒」(仲春)、「春一番」(仲春)、「桜まじ」(晩春)、「油風」(晩春)、「ようず」(三春)、「風光る」(三春)、「春疾風」(三春)、「春北風」(三春)
私は「東風」、「春の風」、「風光る」程度しか用いたことがありません。どれも重要季語です。
「風光る」…一見取っつきやすそうですが、扱いが難しい季語です。
一句が平板になり易い傾向があります。優れた例句も多くはありません。
・風光る海峡のわが若き鳶 佐藤鬼房
「風光る」の代表的な例句です。いざ句作してみると掲句に類想感のある句となり易い傾向があります。「海峡」や「岬」といった場所も同様です。
景を替えたり、視覚(光)以外の五感を用いるなど、違う側面からアプローチした方が良さそうです。
「貝寄風」…よく見かけますが、これといった句に遭ったことはありません。
多くは「貝寄風」という季語にウェイトがかかり過ぎ、一句のバランスが取れていないことによります。
「貝寄風」という言葉自体が、ある種の強いメッセージ性を有しています。
「春の風」と「東風」の使い分けは、句の内容によると思います。どちらでも使える内容であれば、内容を再考する必要があります。
特に取り合わせでは、内容が先、季語が後という句作が基本です。
歳時記をよく読み、季語の本意・本情の差異を認識して下さい。
ただ「春の風」に比べ「東風」は傍題が多いのは事実です。但しそれが使い勝手の良さに直結するとは限りません。
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