【歳時記に馴染む;邪道編①】
歳時記を日々読むことは重要ですが、「勉強」という負のイメージが強いのか、堅苦しく構えてしまい、結果的に歳時記から疎遠になる方もいます。
歳時記を気楽に読んで、馴染んで欲しいものです。
歳時記を捲っていると面白い季語にも出会います。笑うものもあれば、死語と化しているものもあります。
邪道かも知れませんが、今回は「おもしろ季語」をいくつか挙げてみたいと思います。
〈しばれ-晩冬〉
北国の方言がそのまま季語になった珍しい例です。
広辞苑では「しばれる-下一段」とありますが、文語では下二段活用でしょうか?
そうなると「しばるるや…」という例句もあってもおかしくはありませんね…
〈うつ田姫-三冬〉
四季の守護神として古代より春は佐保姫(佐保山は奈良東方にあり、東は五行説で春に配当されます)、秋は龍田姫(龍田山は奈良西方にあり、西は五行説で秋に配当されます)は知られていました。
これに準じて夏の神を「つつ姫」、冬を「うつ田姫」としたそうですが、由来は不明です。
ただ「うつ田姫」という音から、「うつ状態」(冬期に増悪する傾向あり)を勝手に連想してしまいますね…
〈狐火-三冬〉
比較的よく見る季語です。正体は狐の咥える人獣の骨が燐火を発するという説や、水べりで発生する光の屈折で光が幾重にも見えるという説などがありますが定かではありません。
ただ現在では「狐火」という言葉が一人歩きしているようにも感じられ、「雪女(雪女郎)-晩冬」にも似た感じもします。
〈掛乞(かけごい)-仲冬〉
傍題;掛取(かけとり)・附(つけ)・書出し・借銭乞(しゃくせんごい)
江戸時代には、代金の後払いを盆と正月の二回に支払う習慣ができました。
そのツケを集金することで、その手代が掛乞、掛取です。
大晦日の夜更けまで掛乞に奔走し、その悲喜こもごものやりとりは、年越の風物詩でした。一夜明ければめでたい元日になります。
江戸時代の大晦日は、陽暦では約1月遅れますので今の1月末頃になります。
一夜明ければ元日ですが、同じく今の二月初旬頃になり、元日は春でした。
歌舞伎の「人情物」などでは、演目として残っています。
俳句では、陰暦と今の陽暦の違い(刻(こく)と今の時間も同じ)を認識する上での季語の一例です。
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