もはや私の手元に拙句集『原型』は、20冊強が残るのみです。
おかげでまずまずの反応です。
・壺焼の腸勾玉の原型か
コツコツ60点または「可」を稼ぐのではなく、0点か100点に賭けました。
著名な方々でも評価は真っ二つです。それだけ微妙な位置にあるのだと思います。
あとは時間に任せるしかありません。
先日ぼやいていた拙句に反応がありました。
・国生みの天沼矛(あめのぬぼこ)ぞひめはじめ
この句を採ってくれたのは、実力派の女流俳人です(結社の選を受けてはいますが)。
「壺焼の…」の句も賛成派でした。
女流俳人(特に年輩の方)は「ひめはじめ」という季語自体を生理的に嫌悪している感がしますが…ただ逆説的に考えると、この女流俳人は他の女流俳人に比べ、垣根を越えているとも言えます。
そもそも「ひめはじめ」という季語自体の扱いが難しく、ある意味では詩における「俗・毒」の塊のようです。
そうした「俗・毒」を中和しつつ、かつ本意・本情を損なうことなく作句することが要求されます。料理に似ています。
殆ど全ての例句は、「ひめはじめ」を活かしきれていません。遠慮がちです。
・ほこ長し天が下照る姫はじめ 望 一
この発句を下敷きとし、古事記の伊弉諾・伊耶那美による日本国(大八洲(おおやしま)、淤能碁石嶋(おのごろじま))の誕生の話を合わせました。
望一の発句は除外しても、大歳時記の例句と照らし合わせて、負ける気はしませんでしたが、評価が追いついていないため多少やきもきしていました。
版元の「ふらんす堂」編集長、山岡喜美子様の「ふらんす堂編集日記・美人の特典」http://fragie.exblog.jp/19353536/にも指摘から抜粋します。
「エロス的なるものを全面に押し出した句よりも、わたしは先にあげた作品の人間以外の生き物が放つエロティックなものの方がより淫靡でエロティックあると思うのである」
ある意味、挑戦というか句集全体に流れるアクセントとしてエロティックな句を挿入したのですが、やはり全体の評価も芳しくありません。次のような句です。
・水ぬるむ頃やをみなの蜜もまた
・汝が乳首緑雨に透けり抱き寄する
・汝が乳首緑雨に透けり抱き寄する
・五月闇息殺しつつ愛し合ふ
上記以外にも句集を上梓した後も様々なことを学びました。それらを次の課題とします。
句集を上梓して初めて分かることは少なくありません。先ずは上梓が先決と思います。「案ずるより産むが易し」でしょうか。
共著や合同句集では、責任の所在が不明確で、作者にフィードバックされる情報も少ないものです。
次の句集は遅くとも55才まで、収録はやはり200句と決めています。今後約5年単位で句集を上梓していくつもりです。第5句集で1.000句になります。そこで「全句集」とするつもりです。
結社に所属することによるメリット・デメリットがあります。
ただ結社の主宰でない限り、個人の考えや句集の上梓は制限されます。
これは決して主宰だけの問題ではなく、所属している人の(主宰などへの)甘えや、決断力の曖昧さも関与していると思います。
自由という権利は、責任の義務を果たして得られるものです。
今後私も、どこかの結社に所属するかも知れません。ただ己の信念を曲げる気はしません。
強いて言えばある程度のレベルであること(特に選)と、私の意志を尊重することです。私も恩には恩の二倍返しで報いるつもりです。
ただそのようなところはまず皆無でしょうが…
0 件のコメント:
コメントを投稿