【角川『俳句』7月号より②】
〈俳人の時間 『横丁』小澤實〉
(なし)
〈作品 16句 『初鰹』大牧広 〉
・ていねいに焼けば目刺もよここびし
…確かに焦げた目刺はぞんざいな感じがします。個人的には、「擬人法」はリアリティーに欠けるきらいがあり、避けたいところです。
〈作品 16句 『この世』髙田正子 〉
・ひろびろと苗札ばかり立つところ
…「下萌」もさだかではない、黒褐色の土の上の「苗札」の白さが浮かびます。
やがては発芽が見られるでしょう。そこには季節を信じる心や祈りがあります。
そうは言っても、どこかでもどかしい気持もあるでしょう。
初春から仲春にかけての微妙な移ろいが滲みでています。
句作において「移ろい」を表現するのは難しいものです。
〈作品 8句 『知多・篠島』増成栗人〉
(なし)
〈作品 8句 『聖五月』松浦加古〉
(なし)
〈作品 8句 『白藤』雨宮きぬよ〉
・水に明け水に暮れたる残花かな
…やや淋しい景ですが、「春愁」や「暮の春」をも感じさせます。
あえて句中に季語を表記しなくても(無理な季重なりなど)、季節感は句中に滲み出てます。それは季語どうしに重なり合う部分があるからです。
もちろん、季語の本意・本情をよく理解しておくことが前提です。
〈作品 8句 『夏の日』鈴木太郎〉
(なし)
〈作品 8句 『風の十字路』古賀しぐれ〉
(なし
〈第47回蛇笏賞受賞第一作12句『光まぶしき』文挟夫佐恵〉
・青葉闇はや物の怪の潜みをり
…「物の怪」を否定的に捉えてはいない感じがします。いわゆるアニミズムでしょうか。
・わが挽歌たれ凌霄の花の揺れ
…「凌霄の花」は「夾竹桃」などと共に、戦争を喚起します。
戦争体験の色濃き作者にとっては、最後まで「戦争」の記憶とともに死を迎えたいという気持ちがあるのかも知れません。
蔓状の「凌霄」が揺れると、花弁どうしが擦れ合いかすかな音がします。
「挽歌」(音)と「凌霄の花の揺れ」(音)には無理がなく、しつこくもありません。
なかなか真似の出来ない巧さです。
〈私の宝物 新作5句『失はれゆくもの』加藤瑠璃子〉
(なし)
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