2013年6月11日火曜日

【読書録-6月・貧乏?】

〈読書録〉

『64』横山秀夫(文藝春秋)をようやく読み終えました。
安部首相が外遊を終え、飛行機のタラップを降りる時に、片手に持ってアピールしていた本です(安部氏と横山秀夫氏は友人関係)。

今回は普段以上に読書が進みませんでした。元々ミステリーは苦手なのですが、興味が湧かず、更に遅遅たる読書となりました。

ストーリー展開は、全体の2/3まではローペースで、ラスト1/3でドタバタと急展開し、そしてエンディングでは着地が腑に落ちません。

地方警察内の刑事部と警務部の対立、キャリアとノンキャリアの確執など、そもそも警察という組織が内包している問題に、肉付けしたようなストーリーかと感じました。
こうしたことは警察に限らずどの社会の組織にも言えることです。

私はあまり好きではありませんが、「ミステリー」は人口に膾炙しています。

ところで「ミステリー」(散文)と「俳句」の一般公募の賞金を挙げてみます。
例えば「松本清張賞」は500万円です。さらにその後、殺人的に原稿依頼が殺到し、巨額の報酬を得ることになります。
俳句の場合、「西東三鬼賞」は一句で50万円です(角川俳句賞は50句で30万円)。俳句の公募では確かに破格です。もちろんその後に原稿の依頼は来ますが、しかし富にはほど遠いものです。

それは取りも直さず、読者層の厚みの違いに繋がります。
俳句はマイノリティーの文芸であることを改めて個々が自覚すべきかも知れません。

さて気分を取り直して、『きみはいい子』中脇初枝(ポプラ社)に移行します。
その前に読みかけの『ローマ人の物語』(新潮文庫)を切りの良いところまで読み進めます。私は不器用ですので、複数の書物を同時に読めません。
それとは別に『知識ゼロからの西洋絵画入門』山田五郎(幻冬舎)を少しずつ読み進めています。

〈貧乏〉

・銀木犀文士貧しき坂に棲み          水沼三郎

この句はよく分かります。「銀木犀」の選択が効果的です。

・貧乏に匂ひありけり立葵           小澤  實

この句は未だによく分かりません。
立葵」は一見「離れ過ぎ」のように感じますが、おそらくこれで良いのでしょう。
ただ初学者に共感を得るのは困難と思います。
「武士は食わねど高楊枝」といった、やせ我慢をしつつも気位を高く持つということでしょうか。

・夕空に匂ひありけり花木槿          山咲臥竜

「西東三鬼賞」の佳作です。
小澤氏の句を意識したつもりはありませんが、結果的に構造が似ています。
中七「匂ひありけり」は全く同じです。

〇に匂ひありけり〇(植物・体言止め)

小澤氏の句を意識することはなかったのですが、現実(結果)として17文字のうち8文字が同じであり構造も似ています。
「盗作」と言われても仕方ありませんし、潔白を証明する術はありません。

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