2013年6月12日水曜日

【ベルメール人形】

15年以上前に初版本を持っていましたが紛失してしまい、ハンス・ベルメール の写真集を再度購入しました。

「骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書-ハンス・ベルメール (大型本);サラーヌ・アレクサンドリア(箸)、澁澤龍彦  (河出書房新社、初版1974年、新版2006年)

ハンス・ベルメールHans Bellmer1902年3月13日 - 1975年2月23日-ドイツ出身の画家グラフィックデザイナー写真家、人形作家。

アンドレ・ブルトンら当時のパリシュルレアリストに受け入れられる。

1934年、少女の関節人形の白黒写真10枚を収めた『人形』(Die Puppe)をドイツで自費出版する。

日本においては、1965年に雑誌『新婦人』で澁澤龍彦がベルメールの「球体関節人形」を紹介し、広く知られるようになる。

現代ではメーク技術の向上やコンピューター・グラフィックスにより「ゾンビ」をはじめ「グロテスク」なものは作れます。しかしそれらから受けるイメージを自らの内界(精神世界)に向けることは出来ません。

澁澤龍彦は「球体関節人形」と訳しましたが、「違和感のある球体の配列」であり、かつそれが「人形(もしくは人間)」に見えるため、現実と非現実の間の感覚を誘発され、それはやがてメッセージ性を帯びてきます。

「ベルメール人形」はデフォルメされた外観を提示しつつ、見る者に精神世界に潜む「エロティシズムの原型」、「猥雑さ」、そして「混沌」までも感じさせます。
その奥底には、妖しいまでの甘美な匂いさえ漂っているかのようです。

ベルメールはまず外界へ「作品」を提示し、鑑賞する人間を精神世界へ誘っています。
また「人形」をそのまま「作品」として展示するのではなく、「写真」などのフィルターを通して「作品」としている創意も見逃せません。

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