〈新春巻頭作品7句『流れ行く時』有馬朗人〉
・簫火に静もる波や神の旅
…簫火により白波や沖のうねりはよく見える筈ですが、視覚が働くことにより波の音すなわち聴覚は抑制され、「静か」と感じるかも知れません。
〈新春巻頭作品7句『初日』今瀬剛一〉
・初電話この波音を聞けといふ
…電話口の相手は子や孫ではなく、おそらく旅行先の友人でしょう。電話を介し、その場にいるような感覚を頂戴するかのようです。淑気に満ち新年詠に相応しいと思います。
〈新春巻頭作品7句『初御空』鍵和田秞子〉
・落葉ながら白磁売らるる光かな
〈新春巻頭作品7句『武蔵野に』金子兜太〉
・隣の家赫ッと陽当り実千両
…中七から下五へと躍動的なリズム感があります。さながら「値千両」と言っているようで、俳諧の談林派を連想します。
〈新春巻頭作品7句『アンパンマン』坪内稔典〉
・鳥籠は空っぽ正月の老人も
〈新春巻頭作品7句『草石蚕』行方克巳〉
・猿曳きのづけづけと世を断じたる
…諧謔が効いています。「この猿曳きめが」、「猿曳きの分際で」などと怒号が聞こえてきそうです。
〈新春巻頭作品7句『船宿す』原 和子〉
・国振りの岩海苔かさと音立つる
…小潮(新月)の頃の岩礁でしょうか。岩礁に付着し乾燥した岩海苔の景が見えてきます。
〈新春巻頭作品7句『百歳目指せ』松本 旭〉
・初凧を揚げよ嫡孫婚約す
〈新春巻頭作品7句『自在鉤』黛 執〉
・二日はや畦より上がる老いの声
〈新春巻頭作品7句『輪飾』山本洋子〉
・みどり子を置いて大根引きにゆく
…「みどり子」と大根の色の対比にとどまらず、畑であらたな「みどり子」を産むかのようです。
〈俳句と随想十二ヶ月・一月『敗荷』安立公彦〉
・相寄りて夕日浴びゐる木守柿
〈俳句と随想十二ヶ月・一月『記憶』渡辺純枝〉
・猪罠を掛けて山門しづかなり
〈暗唱句-新年〉
時候〈新年〉
・年いよよ水のごとくに迎ふかな 大野林火
・歳明くる濤音国の四方つゝむ 長谷川素逝
・年迎ふ山河それぞれ位置につき 鷹羽狩行 (☆)
天文〈初空〉
天文〈初空〉
・初空へさし出す獅子の首(かしら)かな 一 茶 (☆)
地理〈初景色〉
・たちまちに火の海となり初景色 鷹羽狩行 (☆)
重要季語3、暗唱句5です。
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