【『俳壇』1月号より③(終)】
〈現代作家の窓 『木枯』〉
・マスクして少し弱気になってをり
〈現代作家の窓 『晩秋』〉
・管の身へ種ごと通すあけびの実
…作者は胃瘻などの経腸(経管)栄養です。
〈現代作家の窓 『模型』佐藤詔子〉
・いなつるび骨のうねりを見てしまう
…「いなつるび」の「つるび」は「交む」のことです。性交の様子と思われます。
〈現代作家の窓 『武田巨子』〉
・瑠璃の風渡る水面や冬立てり
〈現代作家の窓 『水烟る』中村 遙〉
・子宮もつ憂さあり鮞を啜る
…「ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂 信子」を連想します。
〈現代作家の窓 『秋の磯』松田ナツ〉
・鮭汁の売り切れてゐる昼の月
〈現代作家の窓 『小春の日』山本美沙〉
・泣き癖の雲せまり来る一茶の忌
〈競詠・新句集の人々『初詣』大久保白村〉
・御降や大和言葉の美しく
〈競詠・新句集の人々『冬わらび』沖田泰子〉
・月白や沖弁当の狐色
〈競詠・新句集の人々『白き書』品川利枝〉
・文化の日柿捥ぎロボットまだできず
〈競詠・新句集の人々『小鳥来る』清水里子〉
・やさしさに本音ぽろりと木の葉髪
〈暗唱句〉
時候〈正月〉
・正月や胼の手洗ふねんごろに 杉田久女
・正月や楷書のごとき山の晴れ 林 徹
・正月の雪真清水の中へ落つ 廣瀬直人 (☆)
天文〈初日〉
・大濤にをどり現れ初日の出 高浜虚子 (☆)
・大初日海離れんとしてゆらぐ 上村占魚
・玉の緒の今こそ真紅初日いづ 千代田葛彦
地理〈初富士〉
・夕まで初富士のある籬かな 松本たかし (☆)
・初富士やさかさにかかる梯子乗 吉田冬葉
・初富士の裾野入れたる海の音 中原道夫
重要季語9、暗唱句21です。いったん天文と地理は終わりとします。
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