2013年12月19日木曜日

『俳壇』1月号より③(終)

〈現代作家の窓 『木枯』〉

・マスクして少し弱気になってをり

〈現代作家の窓 『晩秋』〉

・管の身へ種ごと通すあけびの実

…作者は胃瘻などの経腸(経管)栄養です。

〈現代作家の窓 『模型』佐藤詔子〉

・いなつるび骨のうねりを見てしまう

…「いなつるび」の「つるび」は「交む」のことです。性交の様子と思われます。

〈現代作家の窓 『武田巨子』〉

・瑠璃の風渡る水面や冬立てり

〈現代作家の窓 『水烟る』中村 遙〉

・子宮もつ憂さあり鮞を啜る

…「ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂 信子」を連想します。

〈現代作家の窓 『秋の磯』松田ナツ〉

・鮭汁の売り切れてゐる昼の月

〈現代作家の窓 『小春の日』山本美沙〉

・泣き癖の雲せまり来る一茶の忌

〈競詠・新句集の人々『初詣』大久保白村〉

・御降や大和言葉の美しく

〈競詠・新句集の人々『冬わらび』沖田泰子〉

・月白や沖弁当の狐色

〈競詠・新句集の人々『白き書』品川利枝〉

・文化の日柿捥ぎロボットまだできず

〈競詠・新句集の人々『小鳥来る』清水里子〉

・やさしさに本音ぽろりと木の葉髪

〈暗唱句〉
時候〈正月〉
正月や胼の手洗ふねんごろに             杉田久女
・正月や楷書のごとき山の晴れ             林 徹
・正月の雪真清水の中へ落つ              廣瀬直人    (☆) 

天文〈初日〉
大濤にをどり現れ初日の出              高浜虚子    (☆) 
・大初日海離れんとしてゆらぐ             上村占魚
・玉の緒の今こそ真紅初日いづ             千代田葛彦

地理〈初富士〉
夕まで初富士のある籬かな              松本たかし   (☆) 
・初富士やさかさにかかる梯子乗            吉田冬葉
・初富士の裾野入れたる海の音             中原道夫

重要季語9、暗唱句21です。いったん天文と地理は終わりとします。

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