2013年12月4日水曜日

【『俳句』12月号より④(終)】

〈日本の俳人 金箱戈止夫句集『北の縄文土偶』〉
-新作7句『ふるさと去つて』-
(なし)

-『北の縄文土偶』自選20句抄-

・鶏頭に日月重くめぐりけり

…「日月重く」とありますが、「鶏頭」も重く感じられます。「鶏頭」の質感にもよるのでしょうか。

「鶏頭に鶏頭ごつと触れゐたる   川崎展宏」

〈作品7句 今日の俳人『かげろふ秋』石井 保〉

・秋の蚊のかたくなに寄る煙かな

…「秋の蚊」とありますが、「蚊柱」に似た状態でしょうか。
蚊が寄り集まっていることから、「煙」には二酸化炭素を含むのでしょう。
個人的には擬人法を好みませんので、「かなくなに」がやや気にはなるところです。

〈作品7句 今日の俳人『紫苑の丈』坂内佳禰〉
(なし)

〈作品7句 今日の俳人『火の恋し』衣川次郎〉

・年金減少するたびに火の恋し

…季語は「火恋し」(冬)で、心細さを詠んでいます。(心理的)「寒さ」を感じ、そこから「火恋し」と移行したと思われます。内容は替えずとも、「寒さ」の方がストレートに読者に伝わるかも知れません。

〈作品7句 今日の俳人『船出』美輪初子〉

・ゆく秋のゆくへは海にたづねしか

…調べがいいですね。「ゆ(YU)く秋の」「ゆ(YU)くへは海(Umi)に」と、頭韻を踏みながら、U音の連続が心地よく響きます。内容的にも下五の「たづねしか」の末尾の助詞「か」が効果的です。

〈作品7句 今日の俳人『招き猫』金子 敦〉

・ボールペンの先端は球鳥渡る

…現在我々が使っている多くのボールペンは、先端が球になっています。また渡っている鳥を見上げると、渡り鳥は小さな球のようにも見え、そこに共通点があります。小ー小の比較とも、小ー大の比較とも取れます。

〈作品7句 今日の俳人『初雪』山城一子〉

・桶の音響く湯殿や神の留守

…「神の留守」の例句は少なくなく、「即きやすい」季語にもなりがちです。
単純に考えれば、「神さまが居られたら、きっと怒られる(だろう)」という内容であればそう外すことはない訳です。
掲句の場合、桶をひっくり返し大きな音を湯殿に響かせています。良い例文だと思います。

〈俳人スポットライト『暮の秋』河西正克〉
(なし)

〈俳人スポットライト『鍵開ける』小林月子〉

・虫すだく夜更けて鍵を開ける音

…内から外へか、外から内へかは分かりませんが、臨場感があります。
下五に「音」とありますので、上五の「虫」を「鳴く」や「声」などの直接的な「音」を
避け、また中七に「夜更けて」とありますので「虫の闇」を避けていると思われます。

〈俳人スポットライト『鷹渡る』宮木忠夫〉

・藤袴触るればほのと古代の香

…藤袴の特徴をよく把握していると思います。気になるのは中七の措辞です。
「触るれば」=触る(自ラ下二)の已然・「触るれ」+「ば(接助)・順接の仮定条件」です。文法的に誤りはありませんが、やや読みにくくはないでしょうか。
例えば「触れなば」=触る(自ラ四)の連用「触れ」+ぬ(完了の助動詞)の未然「な」+「ば(接助)・順接の仮定条件」→藤袴触れなばほのと古代の香
この方が若干読みやすい気はしますが…

〈俳人スポットライト『秋の島』児玉真知子〉
(なし)


※   ブログをアップ出来ず申し訳ありません。高熱を出し、へばっています。
それでも何とか松山に来ましたが、殆ど動けない状態です。
旅行記はまた後日にでも。

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