2013年2月12日火曜日

歳時記を「縦」に読む

句作の際などにその季語を調べたまま済ましてしまうことが少なくありません。
但しそれは歳時記を「横」に読んでいるとも言えます。

それでは「縦」に読むとはどのようなことでしょうか。

植物は、芽を出し、生育し、花を咲かせ、実を結び、枯れます。そしてまたその実から新たなる芽が出ます。いわゆる円環を形成しています。
万象に四季の円環は通じます。

稲作を挙げます。

「春田」、「耕」、「畦塗」、「苗代田」。
「種池浚い」、「種選」、「種井」、「種蒔」。
「水口祭」。

「代掻」による「代田」。「苗取」。
「早乙女」による「田植」。
「植田」、「余り苗」。
「早苗饗(さなえぶり)」。

「田草取」。
「旱」、「水争」、「雨乞」。
「青田」、「青田風」。
「雨休」、「八月大名」。

「稲雀」、「案山子」、「鳥威」、「鳴子」。
「稲刈」。「稲架」、「稲干す」。
「稲扱」、「籾擦」、「夜庭」。
「新藁」、「藁塚」、「刈田」。
「秋収め」、「俵編」。
「豊年」、「凶作」。

「冬耕」、「藁仕事」。

上記を見ても、一年を通して農事だけでもこれほどの季語が縦列しています。

卓上版の歳時記は勧めませんが、大歳時記は季節ごとに分冊されていることが一般的です。
ただ歳時記の横断を読むだけでなく、縦断としても読み、四季の移ろいを感じて欲しいと思います。それが本当の理解に通じると信じています。

もっとも、日頃から歳時記に慣れ親しんでいることが前提です。

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