【句集『原型』上梓】
句集『原型』(ふらんす堂 1.800円+税)を上梓致しました。
各都道府県立の図書館をはじめ、全国に160冊を寄贈しています。
電子書籍(300円+税)も、間もなくふらんす堂のホームページより購入いただけます。
御一読下されば幸いです。
【角川『俳句』5月号より ②】
〈作品 16句 女系 伊丹三樹彦〉
・建国日 風吹き通る埴輪の目…埴輪の目の穴に通う風(風化した風やまだ風化していない風)を通して、世の変遷(特に戦や戦争)に対するアイロニーが感じられます。
・三姉妹の英語日本語 春の声…三人目の姉妹は言語ではなく、言語以前である「(小鳥の)鳴き声」にも近い、高く明るい声色かも知れません。
・社家町に土橋石橋草萌える…景に長閑さを感じさせます。
16句中、中8が4句あり、調べ(音楽性)に抵抗感を禁じ得ませんでした。
〈作品 16句 夢見月 上田日差子〉
・みほとけに木の香水の香あたたかし…木仏でしょうか。
コメントは以上です。
〈作品 8句 初夏の街 小川濤美子〉
・おだやかな舟往来や初夏来る…「初夏来る」は不自然であり、「夏来る」または「初夏迎ふ」かと思います。「おだやかな」のいう叙法は、形容動詞「おだやかなる」か、その語幹の「おだやか」が良いかと思います。
〈作品 8句 爛漫 山下美典〉
・地虫出て五風十雨にされさるる…う〜ん、悩みます。「地虫出づ五風十雨にまぎれつつ」とすれば少しは分かる気がします。
・命芽の他は大胆剪定す…「大胆剪定す」の措辞にはやや雑な印象がします。そもそも「剪定」という季語の説明に終始している感じがします。
・つくしんぼ胞子撒かむと背伸びする…上五を下五へ、下五を中七に入れ「背伸びして風に胞子をつくしんぼ」とすれば見やすくなるかと思います。
〈作品 8句 春を読む 深谷雄大〉
・はらからのみな世を終へし雪涅槃…まず「前書き」は不要です。「はらからの」の「の」は「は」、「世を終へし」は、「生終へし」「世(地)をはなれ」「魂となり」等でしょうか。「雪涅槃」より普通に「涅槃雪」の方が良いかと思います。
〈作品 8句 恋猫 佐久間慧子〉
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〈作品 8句 ゆらゆら 德田千鶴子〉
・待つことを愉しむ齢梅ふふむ…類想感はありますが、まとまりがあります。
・花粉来て春のくしゃみの容赦なし…上五・中七は「花粉症」の説明となっています。
・さいたづま言わねばならぬ苦きこと…さいたづま(虎杖)の選択は良いと思いますが、中七・下五が冗長と感じます。
〈暗唱句〉
時候〈水無月-晩夏〉
・みなづきの酢の香ながるゝ厨かな 飴山 實 (☆)
・水無月やこぼれて青き山の蝶 足立文女
天文〈青嵐-三夏〉
・岡の上に馬ひかへたり青嵐 正岡子規 (☆)
・後手に結ぶ角帯青嵐 松村蒼石
・回生の一手は桂馬青嵐 徳嵩芳夫
地理〈泉-三夏〉
・泉ありいづれの堂も遠からず 森田 峠
・ゆるやかに光琳模様泉より 宮津昭彦 (☆)
生活・行事〈浴衣-三夏〉
・湧く雲の方へ浴衣のまま歩く 廣瀬直人
・ゆるやかに光琳模様泉より 宮津昭彦 (☆)
生活・行事〈浴衣-三夏〉
・湧く雲の方へ浴衣のまま歩く 廣瀬直人
・花笠を踊るも見るも浴衣がけ 長谷川耿子 (☆)
動物〈蛇-三夏〉
・水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首 阿波野青畝
・全長のさだまりて蛇すすむなり 山口誓子
・畦草に乗るの蛇(くちなは)の重さかな 飯島晴子
・水銀の流るるごとし川の蛇 大木あまり
・青大将実梅を分けてゆきにけり 岸本尚毅 (☆)
植物〈紫陽花-仲夏〉
・紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴
・紫陽花剪るなほ美(ほ)しきものあらば剪る 津田清子
・紫陽花剪るなほ美(ほ)しきものあらば剪る 津田清子
・兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花 正木ゆう子 (☆)
これで重要季語24、例句60です。
これで重要季語24、例句60です。
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