2013年4月2日火曜日

【㊙テクニック?】

・鹿島槍無垢白雪のぶあつしよ

・壺焼の腸勾玉の原型か

最初の句は、以前にも紹介した著名な俳人より戴いた短冊の句です。鹿島槍は鹿島槍ヶ岳です。
次は拙句集『原型』(近日上梓予定)の冒頭句です。

それぞれを詳細にみていきましょう。まずは「切れ」と構造から見ていきます。

/鹿島槍無垢/白雪のぶあつしよ/

/壺焼きの腸/勾玉の原型か/      

句の前後には必ず「切れ」が存在しますが、両方とも句中に「切れ」があり、一物仕立てです。

次に「品詞」から見ていきます。

鹿島槍(名詞)・無垢(名詞)・白雪(名詞)・の(助詞)・ぶあさつさ(接頭語+形容詞)・よ(助詞)…名詞3つに形容詞1つに助詞2つです。

壺焼(名詞)・の(助詞)・腸(名詞)・勾玉(名詞)・の(助詞)・原型(名詞)・か(助詞)…名詞4つに助詞3つです。

以前、「鹿島槍無…」の句について、「ぶあつし」でなくても「ぶあつさ」でも良い感じもがするが、何度か音読すると「ぶあつし」の方が調べが良い感じがすると述べました。

私の拙句を先に見る方が分かり易いかと思います。全体に窮屈です。
「品詞」の中でも「名詞」を詰め込み過ぎているからです。

「鹿島槍…」の句は「鹿島槍無垢白雪」までは名詞ですが、その後に「ぶあつし」という形容詞を用いています。

形容詞は主に訓読みであり、「音」としても柔らかく、句にゆとりを持たせます。

つまり「鹿島槍…」の句は前半の「硬」、後半の「軟」という形を取りながら一句のバランスを保っているのです。

仮に「ぶあつさよ」とすると名詞ばかり4つとなると、調べは「硬」のまま平板化しがちとなります。

私の拙句の元は「壺焼の腸勾玉と思ふべし」です。「思う」いう言葉が好きでなく、結局はいびつな形となりました。

品詞の配分により、句に「奥行き」や「重厚感」を持たすことが出来ます。
二次元と三次元の違いとも言えます。

「省略」を過剰に意識すると、「名詞」と「助詞」のみの句を作りがちです。
今回の失敗は大きな糧ともなりました。
品詞の「配分」と「調べ」との関係に気が付きました。

今回に限ったことではありませんが、このような知識やテクニックは句作しつつ鑑賞しなければ得れません。

俳句の場合、「読む」ことには「詠む」ことが要求されます。逆もまた然りです。

「読む」にしても「詠む」にしても、一句一句を大事にしていない方が少なくないように感じます。

上達には努力が必要です。努力も効率的である必要があります。

句会に頻繁に参加しても、それだけでは充分ではありません。

上達へのチャンスは案外眼前の一句かも知れません。

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