2013年7月19日金曜日

【『俳壇』8月号より②】

〈俳句と随想十二ヶ月『敗戦日』森田公司〉 

(なし)

俳句と随想十二ヶ月『八月』辻恵美子 


・眼つむれば滝音にあるしじまかな

…「滝音」の「音」が気になります。眼前に滝があれば然るべくして音は存在します。また眼目である「しじま」がやや弱い印象がします。
「めつむれば静寂ありけり瀧の前(壺)」でも良いかと思います。
音となる水と水水と石 後藤比奈夫」…「滝」は峻厳なる自然の一つであり、やや硬質に歯切れよく詠むのが良い気がします

〈同行二人 ふたりで五十句 父子競泳『遍羅』後藤比奈夫〉 


後藤夜半-比奈夫-立夫という俳句の系図です。
先の滝の話に戻り、まずは先代の後藤夜半の代表句の一つを紹介します。
「滝の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半」…この句をうまく鑑賞できるか否かが、「俳句力」の一つの目安かと思います。

・しつかりと都忘れは都色

…飄逸というか、いわゆる「比奈夫節」です。「都色」とは「うすむらさき」でしょう。
「都忘れ」という名を冠しても、なお「都(京都)」への心残りや名残というストーリーを想像させます。

・淀みなく突かねばならぬ心太

…心太は一気に突き出してこそ。思い切りの良さや潔さを男子の本懐とした時代はもはや果ててしまったようです。

〈同行二人 ふたりで五十句 父子競泳『麦笛』後藤立夫〉 

・蠅除の中で時間の待つてゐし

家人が留守の薄暗い部屋でしょうか。言われてみれば、食物の入っている「蠅除の中」の時間は、そ例外の時間と違う気がします。
あたかもその空間には時間の歪みが存在しているのごとく、「蠅除の中」は静謐でありながら、読者の心理に不安や焦りを感じさせます。


〈暗唱句〉 
時候〈立秋-初秋〉

・秋立つや川瀬にまじる川の音             飯田蛇笏   (☆)
・足もとに洗顔の濡れ今朝の秋             鷹羽狩行

天文〈秋晴-三秋〉
・秋晴や火口を落つる砂の音              中川宋淵   (☆)
・畳屋の肘が働く秋日和                草間時彦

地理〈花野-三秋〉

・鳥銜へ去りぬ花野のわが言葉             平畑静塔
・満目の花野ゆき花少し摘む              能村登四郎
・どの裾も谷になだるゝ大花野             河野扶美   (☆)
・塩の道末は花野にまぎれけり             野崎ゆり香

以上で重要季語9、例句19です。

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