2013年7月26日金曜日

【角川『俳句』8月号より②】

〈記念作品8句『丹波栗』齊藤夏風〉

(なし)

〈記念作品8句『一絵』小檜山繁子〉

(なし)

〈記念作品8句『祇園会』辻田克巳〉

(なし)

〈記念作品8句『熱田祭』加藤耕子

(なし)

〈記念作品8句『塵泥』中村和弘〉

(なし)

〈記念作品8句『梅雨長し』岩淵喜代子〉

(なし)

〈作品12句『夏の日々』友岡子郷〉

・医へ通ふとき白靴を選びけり

…通院治療をしている方の気持ちが伝わります。
(他者;医師に対しては)診察が念頭にあるため、おそらくインナーも着替えているでしょう。(本人にとっては)「白」とは何かしらの「心構え」に近い心理も働いているでしょうか。「白靴」の本情である「涼しさ」は、少しでも憂鬱な気持ちを晴らしたい気持ちの現れかも知れません。

〈作品12句『海峡』伊藤敬子〉
(なし)

〈作品12句『闇の深さ』鳴戸奈菜〉

・今にして父の哀しみ日雷

…遠雷の日雷でしょうか。その雷鳴と「亡父の生前の哀しみ」との取り合わせが良いと思います。季語「日雷」が動きそうにありません。

〈作品12句『島』橋本榮治〉

・観音か聖母か岬の南風に立つ

…「題;島」がなくても、南国の島の最南端の岬を連想させます
何かの像が立っていますが、海からの潮風、照りつける太陽、颱風などにより、もはや原形を止めていません。地理的条件、風土性、景観から想像すると、「聖母像」も含めキリスト教の像を想像します。

〈作品12句『暁闇』櫂未知子〉

・清水のむ旅にしあれば目を閉ぢよ

旅先での「清水」に対する指南書のようです。
視覚を遮断させることで、「清水」の美味さが倍増するようです。干からびた喉に清冽な「清水」が流れ落ちる様子が浮かびます。

〈作品12句『洋室』齊藤朝比古〉

・夕焼の蛇口に唇の近付きぬ

…今はどうか分かりませんが、私の少年期では普通に蛇口に唇を付け水道水を飲んでいました。部活動の後の景ではないでしょうか。
「唇の近付きぬ」は、取り立てて言うことでしょうか。「夕焼の蛇口」という景が良いだけに、後半がやや残念な気がします。


〈暗唱句〉

生活〈灯籠-初秋〉

・かりそめに灯籠おくや草の中             飯田蛇笏     (☆)
・山蛾(さんが)食ひ切子ふたたび明(めい)もどす   橋本多佳子
・墓に行く切子の房が草に濡れ             福田甲子雄

動物〈雁-晩秋〉

・病雁の夜寒に落ちて旅寝かな             芭 蕉
・雁の声のしばらく空に充ち              高野素十
・雁や残るものみな美しき               石田波郷     (☆)

・かりがねに空あけてある大和かな           角川春樹
・あをあをと雁の道あり加賀の国            田部谷 紫

植物〈葡萄-仲秋〉

・亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄              川端茅舎     (☆)
・葡萄食ふ一語一語の如くにて             中村草田男
・葡萄剪る奧へ奧へと眼のとんで            神蔵 器

以上で重要季語30、例句86です。

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