両膝関節痛に加え、夏風邪に罹患し、ボロボロです。
全身倦怠感が強く、頭は鈍く、美酒・美食を楽しむ気力もなく、ここ数日臥せっていました。
健康は大事です。健康でなければ不健康なことが出来ません。
不良なことには、禁断の蜜を舐めるような、後ろめたさと愉悦とがあります。
道徳(モラル)や法という何らかの「枠」や「秩序」などがあってこそ生じる感情でしょうが、そこには「(知的)好奇心」が働いているのではないかと思います。
根底が「無秩序」であれば、そうした感情は薄れます。
話は変わります。
夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり 三橋鷹女
掲句は「旧かな・口語」です。文語であれば「嫌いなる」という形容動詞になります。
夏痩せしていても栄養価とは別に、元来嫌いなものは口にしない、という鷹女の気骨が表れているようです。
ところで上五には「も」(逆説の確定条件を示す「助詞」)が省略されています。
ここであえて「も」を付けてみます。
「夏痩せても嫌ひなものは嫌ひなり」…中七は保っています。確かに意味は分かりやすくなりますが、韻文らしさは失せ、散文に近くなり、説明に終わりそうです。
つまり「も」の省略により読者は想像を働かせます。
「韻文」である俳句では、中八の問題がよく取り上げられますが、このように上五・下五でも起こり得えます。
こうした発見もまた俳句を読む上での楽しみ方のひとつかも知れません。
〈暗唱句〉
時候〈新涼-初秋〉
・新涼や白きてのひらあしのうら 川端茅舎 (☆)
天文〈月-三秋〉
・月光にぶつかつて行く山路かな 渡辺水巴 (☆)
・父がつけしわが名立子や月を仰ぐ 星野立子
・月明の一痕としてわが歩む 藤田湘子
・竹伐つて月の光に打たせあり 長谷川櫂
・眠る子の息嗅ぐ月の兎かな 仙田洋子
・眠る子の息嗅ぐ月の兎かな 仙田洋子
地理〈秋の水-仲〉
・石一つ堰きて綾なす秋の水 深見けん二 (☆)
・竹折れしまま重なつて水の秋 廣瀬直人
・竹折れしまま重なつて水の秋 廣瀬直人
以上で重要季語21、例句58です。
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