2013年7月22日月曜日


俳壇8月号より⑤(終)


〈現在作家の窓『田の面』片倉光宏〉


・搔き終へし田を月光の均しけり

「月光」にウェイトがあるため(適していない季重なりのように感じます。「月光」を替えても良いかと思います。

現在作家の窓『白南風』久田幽明
(なし)

現在作家の窓『朝焼け』中澤澄子
(なし)

現在作家の窓『島景色』服部くらら

・乗船に下船に押さふ夏帽子

…景はよく見えます。中七の「押さふ」の連体形は「押さふる」です。掲句の場合は「押さへ」と連用形にするのが良いかと思います。

現在作家の窓『花に寄せて』比日野睦子

・薔薇供ふもんぺ姿の母にかな

…下五「母にかな」の「かな」は名詞か連体形にしか接続せず、「に」という助詞には接続しません。一物仕立てとしては、上五の「供ふ」も不自然です。「供ふ」は下二段活用です。

現在作家の窓『誕生仏』舩山東子
(なし)

〈競泳・新句集の人々『香炷けり』石田蓉子〉

・えご散るや瞽女を祀りし由来書

…取り合わせに安定した感じがします。素材も良いと思います。

競泳・新句集の人々『天平の燕』大久保志遼

・百坊の甍統べたり親燕

…新鮮さには欠けるものの、安定した感じがします。

競泳・新句集の人々『天平の燕』大久保志遼

・みたらしの団子の匂ふ木下闇

…「みたらし団子」の甘い匂いや、砂糖醤油の葛餡のウェット感を、「木下闇」とうまく取り合わせています。


〈暗唱句〉
生活〈新米-三秋〉

・にぎはしく指間をこぼれ今年米           鷹羽狩行     (☆)

・新米の袋の口をのぞきけり             綾部仁喜

動物〈鵙-三秋〉


・百舌啼いて風腥き木の間かな            闌 更      (☆)  

・かなしめば鵙金色の日を負ひ来           加藤楸邨

植物〈桃-初秋〉


・中年や遠くみのれる夜の桃             西東三鬼

・白桃のかくれし疵の吾にもあり           林 翔
・桃向けば夜気なめらかに流れそむ          伊沢正江     (☆) 
・白桃の皮引く指にやゝちから            川崎展宏

以上で重要季語18、例句50です。

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