【俳壇』8月号より⑤(終)】
〈現在作家の窓『田の面』片倉光宏〉
・搔き終へし田を月光の均しけり
…「月光」にウェイトがあるため(適していない)季重なりのように感じます。「月光」を替えても良いかと思います。
〈現在作家の窓『白南風』久田幽明〉
(なし)
〈現在作家の窓『朝焼け』中澤澄子〉
(なし)
〈現在作家の窓『島景色』服部くらら〉
・乗船に下船に押さふ夏帽子
…景はよく見えます。中七の「押さふ」の連体形は「押さふる」です。掲句の場合は「押さへ」と連用形にするのが良いかと思います。
〈現在作家の窓『花に寄せて』比日野睦子〉
・薔薇供ふもんぺ姿の母にかな
…下五「母にかな」の「かな」は名詞か連体形にしか接続せず、「に」という助詞には接続しません。一物仕立てとしては、上五の「供ふ」も不自然です。「供ふ」は下二段活用です。
〈現在作家の窓『誕生仏』舩山東子〉
(なし)
〈競泳・新句集の人々『香炷けり』石田蓉子〉
・えご散るや瞽女を祀りし由来書
…取り合わせに安定した感じがします。素材も良いと思います。
〈競泳・新句集の人々『天平の燕』大久保志遼〉
・百坊の甍統べたり親燕
…新鮮さには欠けるものの、安定した感じがします。
〈競泳・新句集の人々『天平の燕』大久保志遼〉
・みたらしの団子の匂ふ木下闇
…「みたらし団子」の甘い匂いや、砂糖醤油の葛餡のウェット感を、「木下闇」とうまく取り合わせています。
〈暗唱句〉
生活〈新米-三秋〉
・にぎはしく指間をこぼれ今年米 鷹羽狩行 (☆)
・新米の袋の口をのぞきけり 綾部仁喜
動物〈鵙-三秋〉
・百舌啼いて風腥き木の間かな 闌 更 (☆)
・かなしめば鵙金色の日を負ひ来 加藤楸邨
植物〈桃-初秋〉
・中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼
・白桃のかくれし疵の吾にもあり 林 翔
・桃向けば夜気なめらかに流れそむ 伊沢正江 (☆)
・白桃の皮引く指にやゝちから 川崎展宏
以上で重要季語18、例句50です。
以上で重要季語18、例句50です。
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