俳句の表記は、旧かな・新かな。文語・口語であり、その組み合わせは4通りです。
つまり旧かな-文語、旧かな-口語、新かな-文語、新かな-口語です。
一般には「旧かな・文語」が主であり、これは避けて通れません。
これから俳句を始める方や初学者、あるいは自由律をされている方には、まず「旧かな・文語」充分に身に付けて欲しいと思います。
「新かな・口語」表記しているプロでさえ、既に充分に「旧かな・文語」に精通しています。
俳句は韻文ですが、「旧かな・文語」は効果的に働きます。
例を挙げます。一物仕立ての句です。
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏
ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな 村上鬼城
これらに「切れ」を入れてみます。
/くろがねの秋の風鈴鳴りにけり/
/ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな/
「切れ」と「切れ字」は同一のではありません。「切れ字」は「切れ」の一部です。
さて掲句の前後に(/)で表した「切れ」が存在します。「切れ」とは「間」と置き換えても構いません。
何故、句の前後に「切れ」が存在するのか…われわれは日常生活において、口語の散文を用い、文語の韻文は用いません。
和歌・連歌・連俳・俳諧、そして俳句と連綿と受け継がれたものがあり、それが句の前後の「切れ」=「間」です。
作品を詠むとき、日常の世界から非日常の世界へと移り、やがてまた日常の世界へと戻ります。句の前後の「切れ」=「間」は、このことに非常に効果的です。
これらのことは、美術館や劇場に行くことにも似ています。これらは非日常の世界を提供する場なのです。
今度は新かな・口語の例を挙げてみます。
まっすぐな道でさみしい 種田山頭火
直径一センチ弱の梅の実あるあるある 池田澄子
コンビニのおでんが好きで星きれい 神野紗希
これらには句の前後の「切れ」=「間」はありません。すなわち非日常を演出する効果はなく、散文に近い日常の連続となります。
「新かな・口語」の俳句は一見取り付き易そうですが、実は俳句としては不利な条件が少なくなく、それだけに難しいものです。
さて冒頭に戻りますが、やはり「旧かな・文語」は避けられないものであり、最初は大変でも徹底的に学んで欲しいと思います。
初めから「新かな・口語」で取り組んだ方は、後々の苦労が少なからず待っているものです。
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