〈鎮魂-戦後68年目の記憶『流灯』木村里風子〉
(なし)
〈鎮魂-戦後68年目の記憶『原爆忌』西山常好〉
・聖鐘は湾に解けし長崎忌
…地形を考えると、「原爆忌」より「長崎忌」がいいですね。中七「湾に解けし」が「し」と過去形です。「ほどけて」で良い気がします。
〈鎮魂-戦後68年目の記憶『知覧』榎本好宏〉
(なし)
〈鎮魂-戦後68年目の記憶『虹の骨』野ざらし延男〉
(なし)
〈平成俳人クロニクル・新作10句『神の瀧』長嶺千晶〉
・夏木立法螺の響きを底ひより
…作者と修験道者達との位置関係がよく分かります。
〈若手トップランナー・新作20句『現し世』富田拓也〉
・書架にひそみしいくつもの語句夏の星
…書架にひそんでいる語句と「夏の星」との共通項でしょうか。「夏の星」の本意である「見えにくさ」をうまく使っているように思います。
・一晩に生(あ)れつぐ文字や灯取虫
…この取り合わせには驚きました。
夜中に多産した詩も、翌朝にはつまらないものと感じることは少なくありません。
一方、灯取虫は次々と灯の中に飛び込み死を迎えます。ここが共通項かと思います。
それらはもひそかにして、夏の夜の夢の儚さを象徴しているかのようです。
〈本阿弥書店ブックレビュー『邯鄲の宙』・新作『麦笛』矢島惠〉
(なし)
〈俳壇賞作家のいま 作品10句『浮人形』柴田佐知子〉
・足洗ふ水を残して水を打つ
…打水をする場所は石ではなく土と分かります。土や泥水の跳ね返りの付いた足を最後に洗っています。リアリティーを感じます。
・浮人形飽かれて水に遠くあり
…池の中ほどなど容易には届かないところに廃棄された「浮人形」を認めています。
浮かび上がってきた水死体すら連想させ、「もの」の残酷な結末と共に、哀れや儚さを感じます。
もしかするとその「浮人形」は、遠い昔に作者が捨てたものかも知れず、人間の漠として暗鬱たる不安や後ろめたも感じられます。
〈暗唱句〉
生活〈七夕-初秋〉
・七夕や秋を定むる夜のはじめ 芭 蕉 (☆)
・七夕や髪濡れしまま人に逢ふ 橋本多佳子
・七夕の水に沈めし蕪(かぶら)かな 斎籐夏風
・七夕や若く愚かに嗅ぎあへる 髙山れをな
動物〈渡り鳥-仲・晩秋〉
・木曾川の今こそ光れ渡り鳥 高浜虚子 (☆)
・鳥わたるこきこきこきと罐切れば 秋元不死男
・渡り鳥みるみるわれの小さくなり 上田五千石
・鳥渡る北を忘れし古磁石 鍵和田秞子
・はらわたの熱きを侍み鳥渡る 宮坂静生
植物〈木槿-初秋〉
・木槿咲く籬の上の南部富士 山口青邨
・老後とは死ぬまでの日々花木槿 草間時彦
植物〈木槿-初秋〉
・木槿咲く籬の上の南部富士 山口青邨
・老後とは死ぬまでの日々花木槿 草間時彦
・底紅や黙つてあがる母の家 千葉皓史
・一日のまた夕暮や花木槿 山西雅子 (☆)
以上で重要季語12、例句32です。
0 件のコメント:
コメントを投稿