第149回直木賞受賞作『ホテルローヤル』桜木紫乃(集英社)を読みました。
直木賞作品は全て読んでいますが、その中でも最も良質な作品の一つです。
舞台は、最初は今や廃墟と化した釧路湿原のラブホテルから始まり、一章ごとに逆行性に30年前の開業時へと遡ります。
ラブホテルはそれぞれの人物を関連づける存在です。そこでの性愛は焦点ではなく、そこに関わっている人たちの抱えるさまざまな問題を中心としています。
各章の中では、特に『えっち屋』が優れていると思いました。
とにかく面白い。お勧めします。
〈暗唱句〉
時候〈夜寒-晩秋〉
・落雁の声のかさなる夜寒かな 許 六
・鯛のほねたたみに拾ふ夜さむかな 室生犀星
・あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 中村汀女 (☆)
・押入れにもののひしめく夜寒かな 仲 寒蟬
天文〈秋風-三秋〉
・物言へば唇寒し秋の風 芭 蕉
・死骸(なきがら)や秋風かよふ鼻の穴 飯田蛇笏
・秋風や模様のちがふ皿二つ 原 石鼎
・肘あげて能面つけぬ秋の風 小川軽舟 (☆)
生活〈秋思-三秋〉
・秋思あり莨火風に燃えやすく 西島麦南 (☆)
以上で重要季語48、例句133です。
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