【自浄効果】
第149回直木賞受賞作『ホテルローヤル』について阿刀田高選考委員が選評を述べていますが、「あざといほどうまいという意見も出たが…」とありますが、他の選考委員らの嫉妬かも知れません。詳しい選考過程は8月下旬に分かります。
現在、芥川賞・直木賞の選考には、各選考委員が細かいチェック・シートを公開しなければなりません。ただ良い悪いとかではなく、できるだけ数値化しています。
このことにより各選考委員も選を受けます。その資質を問われ、本業の作家活動にも影響を及ぼしかねません。
それ以前には、主に文芸評論家らから「納得がいかない」という意見が続出しました。
そのこともあり今日に至っています。現在は大きな問題は減少しています。
詳細な情報公開により選考委員らに自浄効果が働いた訳です。
さて俳句の場合はどうでしょうか。
例えば「角川俳句賞」などは最終候補の選考過程を掲載しており、ある程度の自浄作用は働いているかと思います。
しかしそうでない俳句大会が少なからず存在するのも事実です。
現在、「俳人協会」、「現代俳句協会」、「日本伝統俳句協会」、「国際俳句交流協会」、もともと狭い俳句界が分かれています。
それらの上部組織として「(日本)俳句協会」(仮称)があっても良いかと思います。
そこで俳句界の抱える大きな課題を協議し、その結果を下部組織に伝え、下部組織はさらに結社の主宰やプロ俳人に通達します。
そして課題に対する態度や結果に対する評価を行い、出来てなければ注意や指導を行っていき、また別に独立した第三者委員会があっても良いかと思います。
これらは将来の俳句界のための礎を確固とするものであり、これからの世代への橋渡しとなります。このことが第一義であり、怠ることがあってはならないと思います。
しかし残念ながら、スリム化や合理化、そして自浄作用など機能している、俳句界の構造改革には時間がかかることでしょう。
〈暗唱句〉
天文〈野分-仲秋〉
・鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな 蕪 村 (☆)
・大いなるものが過ぎ行く野分かな 高浜虚子
・野分いま渡りつつあり胸の上 石塚友二
・おとろへし親におどろく野分かな 原 裕
行事〈盂蘭盆会-初秋〉
・この道しか知らざる妻の盆の路 能村登四郎 (☆)
・独り出て道眺めゐる盆の父 伊藤通明
動物〈蜻蛉-三秋〉
・蜻蛉の羽やもりがくはへ皺にする 永田耕衣
・とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな 中村汀女 (☆)
・つるみとんぼはじけて夕日かき乱す 板谷芳浄
以上で重要季語54、例句152です。
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