2013年3月9日土曜日

【暗唱句 ①】

さて…最大5句までに例句を絞るのも苦渋の選択ですが、更に個人的にその一つに☆をつけます。

季語の本意・本情はどうか歳時記をよく読まれて下さい。


下記の例句は全て暗唱して下さい。どうしても無理な方は、☆だけでも暗唱して下さい。


先ずは【時候
【天文【地理】【生活・行事【動物】【植物の6項目から2つずつ。

【時候

〈春-三春〉
・腸に春滴るや粥の味             夏目漱石   (☆)
・蟇ないて唐招提寺春いづこ          水原秋桜子
・バスを待ち大路の春をうたがはず       石田波郷
・女身仏に春剥落のつづきをり         細見綾子
・春ひとり槍投げて槍に歩み寄る        能村登四郎

〈立春-初春〉
・さゞ波は立春の譜をひろげたり        渡辺水巴
・立春の米こぼれをり葛西橋          石田波郷   ☆)
・春来ると足のせはしき車えび         堀口星眠

【天文
〈春の日-三春〉
・曳航のあとに散らかる春日かな        五島高資   (☆)

〈春の月-三春〉

・外(と)にも出よ触るるばかりに春の月    中村汀女   ☆)
・紺絣春月重く出でしかな           飯田龍太
・水の地球すこしはなれて春の月        正木ゆう子
・オートバイ内股で締め春満月         正木ゆう子

【地理

〈春の山-三春〉
・春の山とよさかのぼる気流あり        三橋敏雄
・春嶺に笛ひびかせてバス廻す         木村凍邨   (☆)

〈春の野-三春〉

・吾も春の野に下り立てば紫に         星野立子   ☆)
・をちこちの水集ひ合ふ春野かな        黛 執

【生活・行事

〈初午-初春〉
・初午の祠ともりぬ雨の中           芥川龍之介
・立ててすぐ幟鳴りけり午祭          榎本好宏   ☆)  

〈雛祭-仲春〉

・天平のをとめぞ立てる雛かな         水原秋桜子
・古雛をみなの道ぞいつくしき         橋本多佳子
・仕る手に笛もなし古雛            松本たかし  ☆) 
・燭揺れてまたたきやまぬ雛の目        松本澄江

【動物

〈猫の恋-初春〉
・菜の花にまぶれて来たり猫の恋        一 茶
・山国の暗すさまじや猫の恋          原 石鼎   (☆) 
・星はみな西へ下りゆく猫の恋         山口誓子

〈蛙-三春〉

・古池や蛙飛びこむ水の音           芭 蕉    ☆)
・昼蛙どの畦のどこ曲らうか          石川桂郎
・初かはづ喉の白さは見えずとも        宇佐見魚目

【植物
〈梅-初春〉
・梅が香にのつと日の出る山路かな       芭 蕉
・梅一輪一輪ほどの暖かさ           嵐 雪
・勇気こそ地の塩なれや梅真白         中村草田男  ☆)
・尿尽きてまた湧く日日や梅の花        三橋敏雄
・白梅の花に蕾に枝走る            倉田紘文

〈椿-三〉

・はなびらの肉やはらかに落椿         飯田蛇笏   ☆)
・落椿踏まじと踏みて美しき          西本一都
・室の津を隠し隠さず椿咲く          森田 峠
・犇きて椿が椿落としけり           岡本 眸
・勝鶏(かちどり)のまだ目の険し夕椿     斎籐日出於

さしあたり時候から植物の12の重要季語の暗唱句を一通り提示しました。
これだけでも39句(☆は12句)になります。

何度も復唱し、憶えて下さい。
暗唱している例句が多ければ、句作の際にも有効です。

「骨董の目利き」の育成法の一つとして、しばらくの間は「本物」だけを見せるそうです。そうしてある時にふと「贋作」を見せるそうです。するとしばらくの間「本物」だけを見てきた弟子は、何となくでも直感で分かるそうです。

俳句もそれに似ているところがあるかと思います。
基礎をおろそかにして、応用はありません。
まず良い作品をまず取り込み、そこからオリジナリティーを生み出すことが本道かと思います。

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