2013年3月5日火曜日

【追補;「かな」の句について②・近況】

〈「かな」の句について②〉

以前、取り合わせの変型として、下五に「〇〇〇かな」の〇〇〇に季語が入る場合は注意を要すると述べました。

このように〇〇〇に季語が入る場合とは別に、「かな」で終わる句以外の取り合わせについて話をします。

・紺絣春月重く出でしかな           飯田龍太

切れを入れると

/紺絣/春月重く出でしかな/  

「紺絣」と「春月重く出でしかな」の二つを取り合わせています。

この場合も一物仕立てと間違わないよう注意が必要ですが、「紺絣」の後に存在する「切れ(間)」が分かれば、取り合わせの変型より分かり易いかと思います。

話は逸れますが、「三段切れ」という言葉があります。主に上五と下五が体言(名詞)で占められてることで、上五・中七・下五がぶつ切りのようにの三つに分かれてしまうことを指します。「三段切れ」と中七は窮屈となります。

・目には青葉山ほとゝぎすはつ松魚(がつお)   素 堂

上五(七)は「目には青葉」と「目には」と助詞も含みますが、終わりは「青葉」と体言であり、三段切れを生じます。

切れを入れると

/目には青葉/山ほとゝぎす/はつ松魚/  

また季語は3つあります。

しかしこの句の主たる季語は「はつ松魚」です。上五・中七・下五はそれぞれ視覚・聴覚・味覚+αとなっています。αは「はつ松魚」の「はつ・初」に依るものです。   

〈近況〉

拙句集のカバーデザインが決まりました。
キルヒャーの図版を用います。

今年は小休止と決めており、3ヶ月程句作していません。
歳時記はほぼ毎日読みます。
今は読書(散文)が多いでしょうか。先日は単行本10冊を購入しました。
歴史物、恋愛物、ノンフィクション、そしてサスペンスとジャンルは多岐に渡ります。

これらが間接的にでも、たとえ僅かでも、詩嚢を肥やしてくれるのであれば、私にとって充分機能したと言えます。

ところで今、初学者向けに重要季語のみの「暗唱すべき〇〇〇句」というものを作っています。これは「習うより慣れろ」で、どうしても避けられません。

さしあたり一季語あたり例句の数を最大5句としていますが、中には割愛せざる句もあります。悩ましいところです。

極端は承知ですが、更に絞り込んで、一季語あたり例句一でも構わないと思います。それらを暗唱できたなら、例句の句数を増やせば良い訳です。

出来るだけ効率よく学び、早く初学の域を抜けて欲しいという願いからです。

残念ながら私は他人を教えることが苦手です。私の精神衛生にも良くありません。
我慢や辛抱が足りず、「清濁併せ呑む」ことが出来ないからでしょう。

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