〈「かな」の句について②〉
以前、取り合わせの変型として、下五に「〇〇〇かな」の〇〇〇に季語が入る場合は注意を要すると述べました。
このように〇〇〇に季語が入る場合とは別に、「かな」で終わる句以外の取り合わせについて話をします。
・紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太
切れを入れると
/紺絣/春月重く出でしかな/
「紺絣」と「春月重く出でしかな」の二つを取り合わせています。
この場合も一物仕立てと間違わないよう注意が必要ですが、「紺絣」の後に存在する「切れ(間)」が分かれば、取り合わせの変型より分かり易いかと思います。
話は逸れますが、「三段切れ」という言葉があります。主に上五と下五が体言(名詞)で占められてることで、上五・中七・下五がぶつ切りのようにの三つに分かれてしまうことを指します。「三段切れ」と中七は窮屈となります。
・目には青葉山ほとゝぎすはつ松魚(がつお) 素 堂
上五(七)は「目には青葉」と「目には」と助詞も含みますが、終わりは「青葉」と体言であり、三段切れを生じます。
/目には青葉/山ほとゝぎす/はつ松魚/
また季語は3つあります。
しかしこの句の主たる季語は「はつ松魚」です。上五・中七・下五はそれぞれ視覚・聴覚・味覚+αとなっています。αは「はつ松魚」の「はつ・初」に依るものです。
〈近況〉
拙句集のカバーデザインが決まりました。
キルヒャーの図版を用います。
今年は小休止と決めており、3ヶ月程句作していません。
歳時記はほぼ毎日読みます。
今は読書(散文)が多いでしょうか。先日は単行本10冊を購入しました。
歴史物、恋愛物、ノンフィクション、そしてサスペンスとジャンルは多岐に渡ります。
これらが間接的にでも、たとえ僅かでも、詩嚢を肥やしてくれるのであれば、私にとって充分機能したと言えます。
ところで今、初学者向けに重要季語のみの「暗唱すべき〇〇〇句」というものを作っています。これは「習うより慣れろ」で、どうしても避けられません。
さしあたり一季語あたり例句の数を最大5句としていますが、中には割愛せざる句もあります。悩ましいところです。
極端は承知ですが、更に絞り込んで、一季語あたり例句一でも構わないと思います。それらを暗唱できたなら、例句の句数を増やせば良い訳です。
出来るだけ効率よく学び、早く初学の域を抜けて欲しいという願いからです。
残念ながら私は他人を教えることが苦手です。私の精神衛生にも良くありません。
我慢や辛抱が足りず、「清濁併せ呑む」ことが出来ないからでしょう。
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