「句調(ととの)はずんば舌頭に千転せよ」(去来抄)
去来抄は、蕉門十哲の一人である向井去来が蕉門での論議、俳諧の心構え等をまとめた俳諧論書とされています。
句の調子が整わない時は何度も復誦せよ、ということであり、韻文における調べの重要性を説いています。
二、三十回(転)は復誦したことがありますが、千転は大げさとしても無理です。むしろ視野狭窄を起こし、上べっつらの句となりそうです。
というのも句は、「意味性」と「音楽性」の両輪からなるからです。「音楽性(調べ)」だけにウェイトを置く、逆に「意味性(メッセージ性)」だけにウェイトを置くと、ちぐはぐな句になりがちです。
いずれにしても上記は「覚醒時」の話です。
さて私の場合、睡眠による推敲が功を奏す時があります。枕元にメモ帳などありません。
覚醒時にあれだけ悩んでいたものが、睡眠により不思議と解決するのです。
「大脳生理学」の博士号を取得していますが、このエピソードは単純なメカニズムによるものではないと思います。
「大脳生理学」の博士号を取得していますが、このエピソードは単純なメカニズムによるものではないと思います。
ともあれ「睡眠推敲法」と勝手に呼んでいます。
一、二年寝かせることもあります。それで駄目なら潔く捨てます。
何度も復誦しながら句を練ることは基本ですが、他の方法が存在する可能性もあるということです。
【暗唱句 ⑤】
一、二年寝かせることもあります。それで駄目なら潔く捨てます。
何度も復誦しながら句を練ることは基本ですが、他の方法が存在する可能性もあるということです。
【暗唱句 ⑤】
さて、「不評?」の「暗唱句」です。
これは地味にコツコツ努力するしか仕方がありません。初めから上達者はいません。
「千里の道も一歩から」(老子)です。
Here we go !
時候
〈彼岸-仲春〉
・蝌蚪生れて未だ覚めざる彼岸かな 松本たかし
・山一つかはり雪みち彼岸前 宇佐見魚目 (☆)
天文
〈東風-三春〉
・のうれんに東風吹くいせの出店(でだな)かな 蕪 村 (☆)
・夕東風や海の船ゐる隅田川 水原秋桜子
・夕東風や水たらしゆく積荷あり 中谷畦雪
地理
〈残る雪-仲春〉
・雪残る頂一つ国境 正岡子規
・一枚の餅のごとくに雪残る 川端茅舎 (☆)
・一枚の餅のごとくに雪残る 川端茅舎 (☆)
・雪形や少年の手に樅の脂 宮坂静生
生活・行事
〈耕-三春〉
・弱国(よわぐに)に耕牛の尿溜り染む 永田耕衣 (☆)
・気の遠くなるまで生きて耕して 永田耕一郎
・はるかまで続く単線春耕す 赤尾恵以
・己が影打ち据ゑるごと耕せり 吉田未灰
動物
〈燕-仲春〉
・潮染みの献血手帳つばめ来る 工藤義夫
・畳屋に新弟子来たりつばくらめ 金子美富 (☆)
・道端に引越の家具初燕 和田耕三郎
・初燕一筆書きで巣にもどる 岡田芳べえ
植物
〈躑躅-晩春〉
・花びらのうすしと思ふ白つつじ 高野素十 (☆)
・牛放つ蓮華つつじの火の海へ 青柳志解樹
Good job !
これで重要季語30、例句76となりました。
この量ならば舌頭に千転といかぬまでも、暗唱できるかも知れません。
「春はあけぼの」ではありませんが、曙光が見える気がします。
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