拙句集『原型』の電子書籍がふらんす堂より発売されました(300円+税)。
宜しければ御一読下さい。
ところでiPad(+セルラーモデル)は使い勝手がいいですね。
さすがに一般のPCと全く同じという訳にはいきませんが、それでもiPhoneに比べると格段に使い易い。
タブレット端末は幾何級数的に飛躍していくと思います。
また話は変わります。
拙句集『原型』の末尾の句です。
・国生みの天沼矛(あめのぬぼこ)ぞひめはじめ 山咲臥竜
「天沼矛」とは伊弉諾(いざなぎ)と伊耶那美(いざなみ)が、神からそれを賜り、「天浮橋(あめのうきはし)」から海を掻き回したものです。その時に出来たものが「淤能碁呂嶋(おのごろじま)」つまりは大八洲(おおやしま)ひいては日本国です。
「ひめ始」の詳しい説明は歳時記に任せますが、現在では主に「「秘め事始め」の意味で、正月初めて男女が交わること」ととされています。
上記の句は我ながら良く出来たと思っているのですが、非難も称賛もありません(選は受けていますが)。まさに「暖簾に腕押し」、「糠に釘」といった心境です。
「ひめ始」の例句を列記してみます。
・ほこ長し天が下照る姫はじめ 望 一
・年おとこするはさほ姫はじめかな 慶 友
・ひめはじめ八重垣つくる深雪かな 増田龍雨
・神の代は星近からむひめ始 秋元不死男
・鶺鴒に数へられたる姫始 沢木欣一
・ひめはじめ昔男に腰のもの 加藤郁乎
・ことのはじめのなかんづく姫はじめ 鷹羽狩行
・日の丸の闇に垂れゐる姫始 吉田汀史
・云々と聞かされてゐる姫始 角 光雄
・姫はじめ闇うつくしといひにけり 矢島渚男
・仮の世の仮の縁や姫はじめ 千葉美枝子
・ワインロゼほのかに残り姫始 齊藤すず子
・姫始人黒く甕風に坐す 藤村多加夫
・姫はじめなどを年賀に来て言へり 藤田湘子
・縹渺と空はみづいろ姫はじめ 大木孝子
・ぬばたまの夜がありし世の姫始 福永法弘
・はるかにも卑弥呼の世あり姫はじめ 古田紀一
・オリオンは水平線に姫始 福島せいぎ
・かげひなたなく働いて姫始 加藤静夫
・雨いつか雪に変わりぬ姫始め 島崎省三
・天地の始めに神のひめ始め 内藤雅博
・神々の幸はふ国のひめ始め 森田真臣
・姫始めなき僧堂に棲む気息 藤木雅章
さて、皆さんはどの句を選びますか?
「姫はじめ」という季語の本意・本情から逸れている句も見られます。
「姫はじめ」の「俗」が強過ぎるためか、「遠慮がち」な句が多いように思います。
江戸時代の望一と慶友の発句は本質を詠んでいます。
私の句の「天沼矛」は、望一の「ほこ長し」をヒントにしています。
拙句集の中でも多少の自負はあるのですが…反応がありません。
以前、「姫はじめ」で100句程作ったことがあります。
明確な理由なしに「してはならない」と窘められれば、却って「そうしようとする」のが、人の心のはたらきであり、そこには本来人間の持つ好奇心や内在する愉楽があるように思うのですが…
〈暗唱句〉
生活・行事〈鵜飼-三夏〉
・おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな 芭 蕉 (☆)
・うつつなや鵜の吐く鮎のまだぬくし 素 丸
・疲れ鵜を労る己が指噛ませ 栗田やすし
・鵜篝の消されて水の匂ふなり 安藤敬子
・鵜は出でぬ水の暗(やみ)より火の暗へ 平井照敏
動物〈蛍-仲夏〉
・迷ひ子の泣く泣くつかむ蛍かな 麦 水
・死蛍に照らしをかける蛍かな 永田耕衣 (☆)
・ゆるやかに着て人と逢ふ蛍の夜 桂 信子
・じゃんけんで負けて蛍に生まれたの 池田澄子
・蛍火や手首細しと掴まれし 正木ゆう子
植物〈若竹-仲夏〉
・若竹やふしみの里の雨の色 闌 更
・ある高さまでは一気に今年竹 片山由美子 (☆)
これで重要季語83、例句226です。
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