【角川『俳句』6月号より⑤】
〈日本の俳人100・3 大石悦子句集『有情』〉
-新作7句 『夢のうち』-
・山に折り谷に折りして紙雛
言われてみればそうだったと思い当たります。上五・中七から下五「紙雛」への着地が意表をついて、面白いと感じました。
-『有情』自選20抄-
・菖蒲酒学びしことの芳しく
小川軽舟氏はこの句を採っています。氏の鑑賞と変わりませんが、一部抜粋します。
「…大切なのは個々の教えではなく、その人物に接した日々から立つ馥郁たる香りのようなものではないか。菖蒲酒を季語に据えて、掲句はそう言っているようだ…」
中七+下五の内容に上五の季語を取り合わせています。
下五の「芳しく」が「菖蒲酒」をやや「即き過ぎ」にしている感じはします。
〈作品7句 今日の俳人 『蝌蚪の国』西山常好〉
・みちくさの子の川叩き初つばめ
「初つばめ」に即した内容です。
〈作品7句 今日の俳人 『湖の濃淡』比田誠子〉
(なし)
〈作品7句 今日の俳人 『磁器共鳴音』大野鵠士〉
・冷し酒時かけて盛一枚を
江戸っ子らしい酒の嗜み方で、池波正太郎氏の時代小説の一コマのようです。
〈作品7句 今日の俳人 『白深く』長島衣伊子〉
(なし)
〈作品7句 今日の俳人 『青空』黒澤あき緒〉
・雲食うてゐるやうな髭桜守
非営利的にて「桜守」なる人を実際に見たことがありませんが、掲句のように仙人の様相を想像します。
〈作品7句 今日の俳人 『芽吹き』三森鉄治〉
・ものの芽のなべてくれなゐ仏生会
「仏生会」によく合った内容です。特に中七の「くれなゐ」が効果的です。
〈暗唱句〉
時候〈夜の秋-晩夏〉
(なし)
天文〈片蔭-晩夏〉
(なし)
地理〈卯波-初夏〉
・あるときは船より高き卯波かな 鈴木真砂女 (☆)
これで重要季語135、例句361です。
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