『香天』5・6月号 (岡田耕治主宰) |
Twitterで相互フォローでの、『香天』の岡田耕治氏に拙句集『原型』を寄贈しました。
すぐにmailで返信があり、岡田氏の選(42句)と『香天』誌への「招待作品」(21句)の依頼がありました。
拙句集『原型』からの21句抄です。岡田氏の選と合わせようかとも思いましたが、あえて自選としました。
昨日、『香天』誌が届きました。開いてみて驚きました。結社誌の一番前、主宰より前に掲載されていました。
いたるところにお褒めの言葉があり、全身にむず痒さを感じました。
特に注目して戴いたのが次の拙句です。
・爆心地跡の屋台に舌焦がす 山咲臥竜
拙句は5年程前、俳人協会大分県支部の俳句大会において、『河鹿(鹿児島)』の淵脇護主宰より特選を戴いたものです。
両者に対し、深く御礼申し上げます。
この句に対し次のような質問をよく受けます。
「季語はどれ?」「季語がないのではないか?」
このように解釈されて下さい。
〈無季と捉える場合〉
俳句は季節を詠む句です。
たとえ「季語」がなくとも、おおよその季節が分かれば良いのです。
一句を通して読むと、やはり場面は「晩夏」から残暑厳しい「初秋」です。
また「爆心地」とは歌枕(枕詞)です。広島か長崎という地名と、その歴史があります。
歌枕は季語と同じ働きをします。
次の句も無季ですが、「沖縄」という歌枕があります。
・沖縄や悲しき歌を晴晴と 小栗たゑ
「爆心地」と「季語」の入った句も少なくありませんが、互いがぶつかっていることが多く、あまり良い句は見かけません。
「枕詞」と「季語」がぶつかっていない句もあります。
・象潟や雨に西施がねぶの花 芭 蕉
問題は「枕詞」と「季語」がぶつかるかどうか、ということであり、そのことは「季重なり」と同じです。
詳しくは「無季の句について」『一億人の季語入門』長谷川櫂(角川学芸出版)p.152〜155を参考にされて下さい。
〈有季と捉える場合〉
大歳時記になると、原爆忌の傍題に「爆心地」が載っています。
・彎曲し火傷し爆心地のマラソン 金子兜太
この句の「爆心地」は長崎です。季語の傍題となっているのはこの句の影響が大きいかと思えます。
季語は生命体のごとく時代と共に変化し、動くものです。
・万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
この句が人口に膾炙されるようになり「万緑」という独立した季語が定着しました。
「ひめはじめ」は語源も不確かながら、それでも時代と共に意味が変容してきました。
振り返って拙句を見ますと、無季、有季の両方に取れますが、個人的には「無季+歌枕」と捉えたいと考えます。金子兜太氏の句も同じではないかと思います。
俳句には「季語」を要す…そうした固定観念や風潮により、「爆心地」という言葉は曖昧な位置にあるように思います。
〈暗唱句〉
生活・行事
〈名越の祓-晩夏〉
・薄闇に蹠拭きゐる夏越かな 桂 信子 (☆)
・薄闇に蹠拭きゐる夏越かな 桂 信子 (☆)
・ありあまる黒髪くぐる茅の輪かな 川崎展宏
植物
植物
〈瓜-晩夏〉
・朝露によごれて涼し瓜の泥 芭 蕉
・朝露によごれて涼し瓜の泥 芭 蕉
・水桶にうなづきあふや瓜茄子 蕪 村 (☆)
・瓜貰ふ太陽の熱さめざるを 山口誓子
〈夕顔-晩夏〉
〈夕顔-晩夏〉
・夕顔の他に彩なく日暮れ待つ 林田紀音夫 (☆)
これで重要季語113、例句318です。
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